2010年11月25日木曜日

Book Log: 伝奇集

『砂の本』に味をしめて、ボルヘスの二冊目。
ボルヘスの物語は、現代的な成長、ヒーロー物語のプロットに侵されることなく、正統な文学なので、文学っぽい文章を読みたい人にはすごくおすすめです。



短編集なのですが、一番好きなのは「八岐の園」というストーリーでした。
文章だけでここまで図形的なイメージをひらめかせてくれるものも珍しいなぁ、と。
正確には読んだときというよりも、木の枝を眺めていたときに、ふとその広がり方がこの物語を想起させ、自然物に備わる美との一致を見たことが衝撃的だったのですが。

実は、世界は一つではなく、様々な選択肢の中から選びとられて現在があるという考え方に最近触れて(アメリカのドラマのFRINGEなのですがw)、なるほどなぁ、と思っていたのですが「八岐の園」はその考え(あるいは、世界観の仮説)を小説として、というよりも、非常に端的な表現を通して的確に描いているという点で感服するのです。