2026年2月17日火曜日

保良 雄「TOTEM ORGA(H)/トーテムオルガ」@横浜市港北水再生センター

横浜市の下水処理場でのアート展。

BankArt 1929のメルマガで告知があってからこれは面白そう、と楽しみにしていた保良 雄「TOTEM ORGA(H)/トーテムオルガ」に2月15日に行ってきました。

90分のツアー形式で、港北水再生センターの中に展示された作品を巡るというもの。実際に稼働中の横浜市の施設が会場ということもあり、アテンドはあるものの作品自体の解説ではなくどちらかというと施設の説明。けれど、生活排水がどのように川に戻されるのか、それを聞く我々もまた循環の一部。朝の💩が今まさにこの施設で取り除かれている最中と思うと一気にテンション上がりますね。




施設の入り口の屋外に設置された東屋の中では、1本の糸をつたって水がしたたっていました。壁の色の美しさと水の動きが子どもたちのお気に入り作品に。



港北水再生センターの上に作られた太尾公園に向かう途中の坂から撮った当該施設。この中が会場です。



水再生センターの概要。



この施設にやってきた汚水は、最初沈殿池→反応タンク→最終沈殿池の主に3つの工程を経て、川に戻されたり再生水として利用されたり、汚泥として取り除かれたものも再び資源となるそうです。


この汚泥を使って作られた「Human Poo 88%」の文字が刻印された煉瓦の作品が最初沈殿池に。ツアー形式の展示はここから始まります。施設の臭い(わかりやすい臭いは最初沈殿池のみ)と相まって強烈な印象!


施設内を巡りながら、ところどころに設置された作品を鑑賞します。


個人的に好きだったのは、作家がエベレストの雪を支えようとして、溶かしてしまった雪(水)が展示されていたもの。営み、循環…矛盾が整合性であり、何ものもそこに作用せずにはいられない存在であること。

そのパネルの手前に置かれた鉢植えが、いかにも市の施設に無造作に置かれたような出立でありながら、センター内に生えている植物が植えられていることに次の移動で気がついたり。センター内に生える植物は計画的に植えられたものではなく、鳥かあるいは職員が気まぐれに運んだ何かで勝手に育ったものであるというツアースタッフの方の何気ない一言。



※関連記事として、Goldwin Field Research Labのチームが本展の作家に同行して行われたリサーチの連載も見つけたので貼っておきます。

https://fieldresearchlab.goldwin.co.jp/column_cat/everest-research/



アート素人にとってはツアー形式の展示会はハードルが高かったのですが、社会に密に接続するテーマなので、生活のインフラが可視化されることで、単に勉強になるを超えて気付かされることが多く、思い切って参加してみて本当に良かったです。

今週末も開催されるツアー、空きがあればぜひ訪れてみてください。




* * *


施設近くの大倉山公園は梅が見頃を迎えていました。


大倉山公園の梅の写真。

2025年8月4日月曜日

子連れ1泊長崎旅行:主に長崎市内観光

夏の長崎。酷暑も相まって、子連れ観光には過酷な暑さでしたが、長崎市内をメインに観光をしてきました。観光旅行と言っても、あー楽しかったという風にはならなかった長崎旅行。改めて平和について考えさせられる場所でした。


まずは、長崎空港から バスで市内に。平和記念公園の平和祈念像を見に行きました。右手は原爆を、左手は平和を表しているそうです。たくましい体とは対照的に菩薩のような顔。戦後80年に向けた式典などの準備のようなものが行われていました。


その後、原爆落下中心地を経由し、長崎原爆資料館へ。館への道すがらに平和の願う像や石碑が沢山設置されていました。

原爆資料館で印象に残ったのは、原爆の実物大の模型。あぁ、こんなものが落とされたのかと妙に戦争をリアルに感じてしまいました。展示は他にも熱で溶けたガラスの瓶、溶けてからまったロザリオ、表面が変化した石など…。もちろん当時の写真、被害者の証言など。

子どもは被害を受けた方々の写真は直視できないようでした。


その後、爆心地近くにあった浦上天主堂へ。再建の後、今でも信徒の集まる実際に使われている教会です。写真は、教会前に佇む原爆で残った聖人像。教会も大きな被害を受けたようすが一部こうして残ったものもあったのですね。

その後は出島を見学し、1日目の観光は終了です。

翌日は、朝一でグラバー園を見学、その後大浦天主堂へ。


こちらはキリシタン弾圧の後、「潜伏キリシタン」が「発見」(神父に信徒がキシスト教であることを伝える)が行われた教会で今は世界遺産となり観光施設となっています。


そして、長崎県美術館で「ゴヤからピカソ、そして長崎へ 芸術家が見た戦争のすがた」の展示を鑑賞。戦争の悲惨さを多角的に伝えるゴヤの連作などがありました。

美術館のもう一つの展示で出会ったのが福山雅治の「クスノキ」。今まできちんと聞いたことがなったのですが、長崎の原爆で残った「被爆樹木」をテーマにした曲なのだそうです。後世に語り継いでいきたい歌ですね。


* * *

長崎旅行が決まってから、長崎が舞台の小説ということで遠藤周作の『沈黙』を読んでいったのですが、そこに描かれていたのはキリシタン弾圧の話で、拷問や心理的な戦術で信仰を棄てることを迫られる様子でした。棄教を拒んだ殉教者数は2,000人にも上るとされているようです。

キリシタン弾圧と原爆の投下という、重たすぎる歴史の街を訪れて、確かに自分は平和ぼけしていのかもしれない、と感じました。「戦争の話を風化させてはいけない」という意味を体感した気がします。

旅先にある教会や神社でいつもなら「無事に帰れますように」程度のことしか祈らないのですが、今回ばかりは個人のことは隅において、この土地で犠牲になった人々の魂の安らぎと、二度と同じようなことが起きないようにと、教会に入る度にお祈りしている自分がいました。

* * *

同行者の中にはベビーカーもあったのですが、ベビーカーで回るにはなかなか厳しい観光地という印象でした。階段をスキップするための坂やスロープもあるのですが大回りしなければならなかったりと暑さも相まって過酷な旅行でした(実際、暑いからやめとこう…となった場所も。)。

歴史の勉強の始まる小学校高学年ぐらいからなら、より意義のある旅行になったかもしれません。

2025年7月4日金曜日

有芽の会/ブレイク前夜@横浜そごう美術館

そごう美術館で開催されている展示「有芽の会/ブレイク前夜」を鑑賞してきました。

気になった作家さん備忘録。展示室では写真を撮らずに、娘と話しながら見ていたので、作家さんのInstagramから展示に似ていた作品などのお写真お借りしております。


▼有芽の会で気になった作家さん

並木秀俊さん

木の板に描かれた、孔雀、菊!とても美しかったです。


▼以下は、ブレイク前夜というテレビ番組で取り上げられた作家さんたちの作品。

江本創さん

架空の静物の標本!サイトで沢山の標本が見られます!楽しい!


坂田あづみさん

刺繍が美しい!


足立篤史さん

文字の形にカットした細かいパーツや新聞などを使った立体作品。


篠崎裕美子さん

陶器でまがまがしさを表現しているのがすごい。


浅香弘能さん

発泡スチロールで木彫りの仏像を再現しているのかな?と思ってよく見ると大理石の作品!二重に驚きました。おもしろい!


大谷陽一郎さん


山の絵に近寄ってみると、文字が!「木」や「樹」だけでなく、「キ」の音の漢字で構成されています。他にも青地に光が降り注ぐような文字の列など、静謐で美しい作品でした。


* * *

一通り見て、文字を取り入れている作品が多いな、と感じました。個人的には文字を読むのは好きなので楽しかったです。

他にも沢山、面白い!と思える作品がありました。無料で見られる展示なのでぜひ。

2024年10月16日水曜日

一泊二日、子連れワンオペ関西旅行(みんぱくとか、アトムとか)

未就学児と小学生を連れての関西旅行。バタバタして、大した写真も撮れてないけどとても(自己)満足な楽しい旅だったので記録。

1日目は新幹線で到着した新大阪から直接、万博記念公園へ。三連休の中日ということもありモノレールも激混み、公園自体も入場制限もかかっていましたがそんなには待つことなく入園できました。

太陽の塔の内部観覧の際は大きい荷物は持ち込めないということで駅のコインロッカーに旅のもろもろを入れていこうと思ったらいっぱいで使えませんでしたが、公園内のロッカーは現金のみだけれど200円で預けられて余裕ありで一安心。

晴れていてとても気持ちのいい旅行でした。

身軽になって、まずは国立民族学博物館(通称:みんぱく)へ。

展示室のある2階へ。わくわく。

太陽の塔のチケットもあったので少し割り引きの価格でチケット購入できました。子どもたちは無料の年齢で、さらに音声ガイドも無料で貸し出ししてくれます。(もう少し商売っ気を出してもいいと思うのでなくならないで欲しい施設!)

展示は地域ごとやテーマごとに分かれていました。おー!おもしろい!すごい!!きれい!怖い!!など、心揺さぶられるものがところ狭しと展示されています。

全ての音声ガイドをきいて、じっくり見ていたら一週間ぐらいないと堪能できないような凝縮された展示で、びっくりしました。こんなおもしろいところに今まで来たことがなかったなんて、人生損していたかもしれない…。今まで行った博物館の中でも一番好きだ…。

しかし、そこは子連れ旅の悲しきかな、展示されたお面にしろ、模様の縫い込まれた布にしろつぼにしろ迫力がすごすぎて幼児さんが私の手を全く離してくれなかったので音声ガイドの操作もスマホでの撮影も全て諦めました。怖い気持ち分かるよ〜、と思いながら一緒に展示室を回りました。また近いうちに、関西方面に行くときは必ず旅程に入れたい、と思いながら展示室をあとにしたのでした。

次に行くまでは、ひとまず「月刊みんぱく」のアーカイブを読んで勉強する所存。

太陽の塔の予約時間があったので、企画展を駆け足で眺めて移動(もっとじっくり見たかった…)。

太陽の塔、生命の樹の原生類時代あたりを下から見上げたあたり。手の部分もなかなかおもしろいので中に入るのオススメです。こちらはスマホケースを500円で借りると内部の撮影ができました。

太陽の塔も幼児さんにはなかなか怖い空間だったようで、小学生ぐらいになると、みんぱくと同様こちらも楽しめるかな〜という感じでした。

その後、ミャクミャク大好き幼児さんは、梅田のミャクミャクショップでお買い物していいよ〜というとサンリオコラボのボールペンを選んで満足していたのでまぁよしとします。


2日目は阪急電車に乗って宝塚方面へ。

まずは、逆瀬川駅から歩いて伊和志津神社へ。10月からアトムの柄の御朱印をいただけるということで、これを知った昨年末から実は関西に旅行に行こうと計画していたのでした。

旅の安全を祈願し、手塚治虫記念館へ。


アトム!写楽!サファイア!レオ!大好きなキャラクターたちが沢山いてるんるんしてしまう空間でした。小学生の方にはユニコを事前に読ませていたけれど、何も知らない幼児でもキャラクターのかわいさを楽しんだり、自分で描いた絵をアニメにして動かしたりと楽しめていました。

記念館のグラウンドフロアの出入り口は、宝塚市の文化芸術センターの広場とつながっており、神社から記念館に向かう途中でルマンで購入したでたまごサンドやフルーツサンドなどを食べたり、子どもたちは走り回ったりとのんびり過ごせる場所もあり助かりました。

町中にアトムたちがいっぱいいる。幸せ。

そして、また新大阪に戻り、お土産に行列し、関東へ。

完全に私個人の趣味の旅行に子どもたちを引き連れていった感じでしたが、子どももそれなりに楽しかった〜と言ってくれたので最後ほっとした旅行でした。

今回の旅で思ったこと

  • 新大阪駅構内と梅田周辺、めっちゃ混んでる。新宿駅より人が芋洗い状態。郊外のはずの万博記念公園もめっちゃ混んでる。びっくりした。


2024年3月12日火曜日

Book Review: 『二分間の冒険』岡田 淳

海外児童文学ばかり読んでいた私ですが、日本人の作家さんの中で、特に好きでよく読んでいたのが岡田淳さんのこそあどの森シリーズ。内容はもう忘れてしまったけれど(汗)、近所の図書館のあの辺の棚にあったよなぁ、とか、わくわくして読んだよなぁという記憶はしっかり残っています。

最近、子どもによさそうな冒険ものの本を探していて、岡田淳さんの本でタイトルだけは知っていた『二分間の冒険』を手に取りました。

読み始めてすぐに、あぁこれ!この読みやすさ!そして、わくわく感!と嬉しい気持ちに。

大人になって読んでも、やっぱり極上のファンタジー。こんなに分かりやすい文章で、こんなに異世界での冒険に意味を持たせて描けるのが本当にすごい。

調べると小学校で教員もされていたことがあるようで、なるほど。

主人公の男の子は6年生で、中高学年向けのお話だと思うので子どもが大きくなったらぜひ手渡したい本です。

(ただ、うちの子はどうやらファンタジーよりも妖怪や探偵ものが好きそうで、今のところ私が好きで渡した本はあまり好きではないようなので読んでくれるかは分かりませんが。推理小説系に進むのかな?)


2024年3月4日月曜日

児童文学に出会い直す

最近は、子どもが少し育ってきたので、子どもが読む本を懐かしく再び読んだり、こんな本があったのか、と児童文学と新しく出会うことが増えました。

小学生の高学年ぐらいからは、すでに海外の翻訳された児童文学ばかり読んでいた記憶があり、日本の児童文学には未読のものも多く新しい出会いが多そうです。

ふらりと旅行に行けなくても、子どもの成長に合わせながらまた児童文学を読み、子どもたちがどういうことを感じるのかを考えるのは子どもの頃の気持ちを思い出し、生き直すことができるのは母親ならではの貴重なショートトリップであるなぁと考えています。

児童文学論のような武器もいくつか手に入れ、それでもやっぱりファンタジー世界に胸躍らせながら素敵な本に出会いたいですね。

* * *

関連して、今年は重い腰を上げ英語の勉強を始めました。好きな本を原著で読むことにを目標にしていて、密かに始めたBluesky

Webでも見られるのかな?

2023年8月22日火曜日

Book Review: 『クラバート』オトフリート・プロイスラー


表紙の絵のインパクトで存在は知っていたけれど、読んだことのなかった児童文学オトフリート・プロイスラーのクラバート

全編通して、水車場での生活がメインに描かれていることに驚く。

主人公のクラバートが親方のもとで、仲間と信頼関係を築き、力をつけて成長していく様子に少年から青年への人生が凝縮されている。描かれた3年の間から人の生き死にや人生のよりよき決断とは、など考えさせられる。

小学校高学年向けの課題図書になっていたことがあるようだけれど、大人でも楽しめるファンタジー。むしろ、小学生にこれを推薦することができるのなら、もしかして子どもは私が思っているよりもいろいろなことを理解しうる存在なのかもしれないと考えさせられるなど(子育て悩み中…)。