2014年11月15日土曜日

Book Review: 密林の語り部

タイトル:密林の語り部(岩波文庫)
作者:バルガス=リョサ(Wikipedia
訳者:西村英一郎

 「それに……」と、シュネル氏は言った。「語り部は、現在の頼りだけを持ってくるのではないという気がする。昔のことも話す。たぶん、共同体の記憶でもある。おそらく中世の吟遊詩人や歌人に似た役割を果たしているんだよ」

ラテンアメリカ文学で最初に手にした本は、リョサの作品だった。2010年、オフィスがあまりにも遠すぎた私はヒルサイドライブラリーに通っていて、そこで、本棚にバルガス=リョサの受賞の記事をみつけたのがそもそもマルケスを含むラ米の小説に触れるきっかけになったのをよく覚えている。そのとき「都会と犬ども」はものの数ページで挫折したのだけど、リョサの本はいつか絶対に読みたかったので、「密林の語り部」も岩波文庫で刊行されたときに買って、これも最初の方の章で挫折していわゆる積ん読になっていた。

10月中は仕事の関係でほとんど本を、とりわけフィクションを読んでいなくて、いくつか10月中に買って仕事が一段落したら読もうと思っていた本はいくつかあったのだけど、急に「密林の語り部」を読み通せるような気分がやってきて再び読み始めた。

フィクションとは言っても、おそらく、ペルーの密林に住む部族のことはほとんどが実際の研究やフィールドワーク資料などに基づいているのだろう。主に描かれているマチゲンガ族の風習や考え方、伝説、魔術の類いの話は示唆深く、彼らの生活が西欧スペイン語文化に浸食されていく様は何度も何度も論じられている現実の問題としても興味深く読むことができる。しかしもちろん、読み進めると最後に物語の急展開が待っている。どこかで読みながら気がついていたのかもしれないけれど、やはりその事実が明確になってくると驚くようなことで、フィクションとしても最高の物語であると唸らずにはいられない。

この本を読み切るための難関は、なんといっても、3章からの文章の読みにくさだろう。ほとんどネタバレになってしまうのだけど、1章イントロと2章の書き手の「私」の文章に続く、3章以降の「私」はどうやら2章の「私」ではないことが分かるのだが、誰の言葉なのかがよく分からない。マチゲンガ族の伝説にも精通しているのだが、時折彼らを客観視している様子が伝わってくる。これが一体誰なのかということが分かったときに、驚嘆と納得、嬉しさと寂しさ、いろいろな感情が襲ってくる。うわぁっ!と、2章の「私」と同じ感動を読み手は味わうことができる。

リョサがノーベル文学賞を獲った年だったかに、来日して東大で講演をしたのを聴いたのだけど、彼は嘘の世界を作ることで現実の問題をあぶり出したいというようなことを言っていたように思う(曖昧)。まさに、この作品も、単に密林と西欧化の問題に限らず、国を超えた民族という大きな問題までを包含する大きな問題提起と洞察がされており、一人の人がこれだけの密度の作品を書ききるということに敬服の念を禁じ得ない。

マルケスはラテンアメリカ文学ブームを牽引した功績が加味されているような気がするけれど、リョサは非常に優れた作家としてノーベル賞を獲ったのだと納得。人類学的な話が好きなら、テーマもおもしろく、文庫1冊で完結している長さを含めて、リョサの作品だと取りかかりやすい本だと思うのでおすすめしたいです。

とにかく、素晴らしい本で、Amazonのレビューを見たら、7人のレビュワー全員が★5つをつけていて、やはりな…と言った感じ。本当に読んでよかったと思える作品でした。

次は「緑の家」読みたいな…。

2014年11月11日火曜日

ELIE SAABの香水

ELIE SAABのドレスを初めて見たとき、その美しさとファンタジー性に一目惚れ。

総レースみたいな繊細さなのに、甘過ぎない世界観が好きな理由かな、と思います。

ELIE SAABさん(@eliesaabworld)が投稿した写真 on

それから、FacebookやInstagramでフォローしては日々その世界観を垣間見ては、身もだえているわけですが、日本未発売らしいELIE SAABのLE PARFUMを海外のお土産でもらったので、涼しくなってから毎日の勢いで使っております。


香りは、

トップノート: オレンジブロッサム
ミドルノート: ジャスミン
ベースノート: ローズフレーバーのシダーウッドハニー

暖かみがあるのに、フローラルな感じが気に入っています。

ファッションブランドがなぜ香水を出すのか(化粧品を出してるとこは別として)、漠然と疑問に思っていたのですが、自分たちのブランドの世界観を表現し、伝えるために、香水というのは大きな役割を果たすのだということを実感しました。

手の平サイズから広がるELIE SAABワールド。

機会があればお試しください。

追記

ELIE SAABのドレスを着てみたい場合、ウェディングドレスのブランドPronoviasのELIE SAABのラインの取り扱いが日本の店舗にもあればちょっと現実味を増しますね。あるのかなー??

2014年11月9日日曜日

TOKYO DESIGNERS WEEK2014で気になったもの

三連休で行ったTOKYO DESIGNERS WEEK2014の中で気になったものなどのメモ。

展示の中で圧倒的にクオリティが高くセクション全体で見応えがあったのがアーティストによる着物の再定義。



写真は、KOSHINO JUNKOさんのもの。清川あさみさんの着物も白い蝶が動く仕掛けがされており、とても美しかったです。

いくつか好きだったものや、興味のあるもの。

ファッションデザイナー?
プロモーション用の動画がコンテナで流れていましたが、未来的な感じが好きでした。

実際にかけてみました。見た目もかけ心地もほとんど普通のメガネと変わりません。
眼球の位置をとれる機能のついたデジタルグラス。

- 加藤良次氏の染色作品

- メキシコの学生さんの洋服の展示



<北斎漫画インスパイア展より>

amana × ARART
アプリをかざすと絵が動き出す系のARアプリARARTを利用した作品。

- OHGUSHI氏のふすま

中塚翠涛氏の書道作品

雨で、外の展示はほとんど回れなかったのが残念でしたが、全体的に見応えのある展示会でした。