2013年10月9日水曜日

Museum Log: レオナール・フジタ ― ポーラ美術館コレクションを中心に


※写真は、一昨年の展覧会の図録から。

ポーラ美術館で開催された展覧会も行ったことがあったので、時間の都合をつけて行くべきか迷っているうちに会期終了まで1週間をきって、やはりと思い行ってきました。

藤田嗣治の絵は、その第一の特徴とされる「乳白色」が好きで、展覧会などがあると可能な範囲で行ってきたし、旅行先でちょっと寄ってみることの多い地方の美術館にも一、二点は藤田嗣治の絵が収蔵されていることがけっこうあるので枚数で言ったらそこそこ見ているのでは、と自負していたのですが、今回の展覧会ではフジタの仕事場での作業風景などの写真がまとめて展示してあり、初めてアーティストとしての彼の生活に興味が湧いたのでした。

土門拳という写真家の撮影したフジタの家での作業風景は、物は少なく、すきっりとした清潔感があり、それでいて殺風景ではない。むしろ、温かみがあって、モノクロでもフジタ自身の哲学に彩られていることがありありと伝わってきて、あぁ芸術はこういうところでこそ育つのだな、と妙に納得してしまったのでした。

図録は出してもいいと思っていた値段を300円ほどオーバーしていたので、代わりにフジタの作業中の写真なども数点掲載されていた『藤田嗣治手しごとの家』という新書を帰りの電車のお供にしました。

本によると、フジタは生活で使う様々なモノ、陶器や洋服などを自分で作っていたそうです。「芸術家は宜しく芸術品を身に纏うべし」、と。芸術品すなわち高級なもの、ではなく、自分の手で丹精を込めて作ったものを芸術品と捉える考えもまた、素敵ですね。

いつかフジタの乳白色の絵を一枚でもいいから家に飾れたら!と思っていたのですが、フジタのように日々の生活を自分の好きな色、哲学に染めていくことで彼に敬意を表するのも素敵なんじゃないかと思えた展覧会でした。